浜辺の足跡 アデマール デ パロス
ユメを見た、クリスマスの夜
浜辺を歩いていた、主と並んで
砂の上に二人の足が、足跡を残していった
ふと思った、ユメの中でのことだ
この一足一足は、わたしの生涯の一日一日をしめしていると。
立ち止まって後ろを振り返った。
足跡はずっと遠く見えなくなるところまで続いている
ところが一つのことに気づいた
ところどころ、ふたりの足跡でなく
一人の足跡しかないのに
わたしの生涯が走馬灯のように思い出された
なんという驚き、一人の足跡しかないところは
生涯の一番暗かった日とぴったり合う
苦悶の日
悪をのぞんだ日
利己主義の日
試練の日
やりきれない日
自分にやりきれなくなった日
そこで、主の方に向き直って
あえて、文句を言った
(あなたは日々私たちとともにいると約束されたではありませんか。
なぜ約束を守って下さらなかったのか。
どうして人生の危機にあったわたしを一人でほおっておかれたのか、
まさに、あなたの存在が必要だった時に)
ところが、主はわたしに答えて言われた。
(友よ砂の上に一人の足跡しか見えない日、
それはわたしが、君をオブって歩いた日なのだよ)