沖縄の海
海の中にあかい色を見つけた。それを、白い波がさわさわと吹き消した。
赤だったのか、朱色だったのか今はもう思い出せない
何度も、白い波が風を運んできては、白色でわたしを包んだ。
海の中に黒い色を見つけた。それを、青い波がくるくると吹き消した。
黒だったのか、茶色だったのか今はもう思い出せない
何度も、青い波が風を運んできては、青色でわたしを包んだ。
海の中に光る色を見つけた。それを、風の羽がきらきらと連れ去った。
金だったのか、銀色だったのか今はもう思い出せない。
何度も、青い波が風を運んできては、青色でわたしを包んだ。
沖縄の海は、風といつも一緒。
暖かくて、強くて、堂々とした風は
一箇所にわたしを留めない。
だからわたしは、
海の前に居ることさえも忘れてしまう。
振り向くと
風はそっと、いいにおいの
羽をおきざりにしていく。
わたしはといえば、
のんびりと
それを拾い上げ、
身につけ
空に向かう。
そんな時、
きっと
わたしは
透き通っているのだろう。
万座毛(まんざもう)の海にて