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消えたマリ

消えたマリ

12月31日に父母が大阪に出かける
大阪で買ったものは
お正月の朝
子ども達の枕元にも並ぶ

毎年の大きな楽しみの一つだった
付録の一杯付いた本だったり
手袋だったときもある
此れから縫ってもらう洋服の生地の時もある
一番うれしかったのが
ゴムマリ
きれいなプリント柄で
ポンポンつくとクルクル図柄も回って
物凄く
きれいだ
姉と共有でもない
わたしひとりの宝物

一日中まりつきをして遊んだ
近所の子が羨ましそうに見ている
遠くから見てた子が近づいてきて
貸して  貸して
ケチなわたしは
貸してからすぐに後悔する
もう返して
言ってもすぐには返さない
もうチョットだけネが
物凄く長く感じる
泣かんばかりの返してコールの後
マリは手元に戻って来る
もう貸さない

返ってきたマリは良くはづんであきることもなかった

一度貸すと、毎日、貸してやさんが来る
水たまりに落とさないか心配で貸している間も油断ができない
そばにいて
あっそこ、危ない、危ない、水溜りだ!

夜は抱いて寝たマリ

そのマリが無くなった
学校の行事だったかしらで
マリつきが出来ない日が2~3日続いた
(もう忘れてしまったが遠足か運動会かだったと思う)
気がそれた、ちょっとの間に
消えた

誰にもいえないほど悲しんだ
誰にもいえないほど必死で探した
誰にも
相談できなかったわたし
マリは出てこない

ずいぶんたってから
母にマリのことを聞かれても
話せない
わたしが悪いのだ
耐えていたのだと思う

夢の中でも探し続けた

どうして誰にも相談できなかったのだろうか
今では
無くなったマリの行方よりも
誰にも
相談したりたづねたり
しなかった自分が
気になっている

マリを探しながら自分はどこかに
置いたままだった
by artartart100 | 2007-06-03 07:43
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